CRASS "Penis Envy" [CD/NEW] ¥2480
1981年3rdアルバム。サッチャー政権下の新自由主義的政策へのアンチとして女声だけで作られる。よってSteve Ignorant, は不参加。体制批判「Systematic Death」、Creative Recording And Sound Services (アタマ文字を繋げる)として匿名でリリースした偽中道ポップソング「Our Wedding」(オリジナル盤ではシークレットトラック)などを収録。Crassical シリーズでのリマスター再発。ボーナストラック(3曲)は未発表の「Yorkie Talk」、「Our Wedding」をコラージュした「Yes, Folks」、「Major General Despair」の新バージョンとして03年の"Peace Not War"に収録されていた"The Unelected President"を収録。もちろん本作もオリジナルアートワークの縮刷再現、本アルバムでの中心人物Eve Libertine, による新ライナーとGee Vaucher, による新アートワーク、 Penny Rimbaud, による当時の回顧文を掲載したブックレット付き。
そっけないのですが個人的見解を示しておきます。
タイトル"Penis Envy" はフロイトの精神分析での「ペニス羨望」。幼女児は自身の男根の不在を嘆き男性への羨望や嫉妬や憎悪を抱く、という女性のセクシャルそれ自体を否定し、女性の性を男性の性の欠如した姿とする解釈である。
クリステヴァを見ればよく判る、こんな論を支持するヤツはニセモノだ。
このアルバムのリリース当時はまだフェミニズムは社会に対してそれなりの有効性を持っていたかもしれないけれども、現在ではすでにその役目を終えたといってよいと思う。CRASSはその音楽だけでなく「何を歌っているのか」が問題にされるべきだという当店の持論に基づき、本作に関しては「こっから先」何が言われてきて、いまなお、何が言われ続けているのかが重要だと声を大にして、恩返しも込めて言いたいです。もうすでに本作で「歌われたこと」はラジカルではありません。「男女間の不平等が解消されたら」というリベラルフェミの言説は、男女間の性愛を肯定し、男女間の性愛の強制性を浮き彫りにしたうえで、女性間の性愛を全く無視しているのだから。